山菜は子供のこらから父親が山へ行って取ってくるものだったから買うという考えは思いつかなかった。春になると新潟の実家は山菜料理で賑わう。天ぷら、味噌汁、ふき味噌などなど色々。山菜を美味しいと思うようになったのは、東京に出てきてからのような気がします。子供の頃を考えると多分美味しいと思ってなかったんじゃないかなと。苦いし。
ヴァンセットでこの時期使う山菜はフキノトウ。ハーブのような使い方で料理に取り入れています。香りの良いフキノトウは少し料理に入れるだけで、大分印象が変わります。
そんなわけでこの季節は香草バターのアレンジで、フキノトウバターを作ります。これは、バターと粒マスタード、アーモンドプードル、エシャロット、ニンニク、マッシュルーム、ベーコン、塩、胡椒、
をフードプロセッサーで回したものです。通常は、フキノトウの代わりにパセリを使って作ります。いわゆるエスカルゴバターですが、このレシピは色々入るので味わいに厚みが
あります。
このバターは万能で色々な料理に使えます。鹿児島産のハマグリに塗って上からパン粉をかけてオーブンで焼く。フキノトウの香りと香ばしいパン粉の風味がハマグリに良くあいます。
佐賀産のホワイトアスパラガスとハマグリナージュを仕上げるのにハマグリのスープにフキノトウバターを加えるのも春らしい組み合わせの前菜になります。ほろ苦いフキノトウの風味とハマグリの旨味、アスパラガスの甘みが良いバランスをとります。
魚料理のソースとして仕上げても美味です。
それからヴァンセットのメインの料理の定番。岩手県の銘柄豚岩中豚ロースのロースト。
この料理のソースには塩漬けにした黒豚バラ肉を煮込んだスープを使います。豚の旨味に
キノコや野菜の香りを加えたスープはラーメンのスープにしても多分美味しいと思います。やったことはないんですが…。日本一こだわり卵の温度卵をのせたら贅沢なラーメンができそうです。
そんな味わい深い黒豚のスープを軽く煮詰めてフキノトウバターを加えて仕上げると春らしい岩中豚の料理が出来上がります。ワインはシャルドネがいいかなぁと思います。
フキノトウバターの場合ほろ苦い感じと香ばしさフキノトウの芳香な香りが生きた料理を仕上げることが出来ます。もちろんこのバターはエスカルゴとの相性も良いです。
フキノトウ風味のエスカルゴ。ヴァンセットのエスカルゴは黒豚のスープで煮込んでから使うので旨味がエスカルゴに染み込んでいます。フキノトウバターをのせてオーブンで焼いて仕上げます。ワインや日本酒との相性も良いと思います。
3月になって春の野菜や果物がいろいろ出てきているので料理も華やかになってきます。これからはタケノコも登場します。高知のフルーツトマトや香川の完熟キンカンや新玉ねぎ、菜の花や山菜。仕込みは大変ですが、楽しい季節です。野菜のテリーヌももう少ししたら始めようと思います。
ワインもロゼのスパークリングワインが爽やかな春のイメージで桜が待ち遠しい気分になります。
ヴァンセットの窓からは桜は見えませし春らし景色もないですが、皿の上で春を感じてもらえるたらと思います。